マッチング2014

DIMO2014助成事業者

ちょうちんの新規市場創造

有限会社秋村泰平堂×AZUCHI

「ちょうちん」をもっと身近に、新しく。

竹と和紙で作られるちょうちんは、日本文化の一つです。有限会社秋村泰平堂は、大正10年に創業し、ちょうちんの製造加工販売を手がけています。時代の流れとともにその市場が縮小する中、もっと身近にちょうちんを感じてもらえるような商品を開発し、ちょうちんの利用シーンや市場の幅を広げていきたいと考えています。

この事業では、クリエイティブ提案者(AZUCHI)とともに、ちょうちんの製作技術を活かし子どもたちに「ちょうちん」のある生活を提供できるような商品、コミュニケーションツールとしてのちょうちんなど新たな価値をもつ商品を開発し、新市場にチャレンジしていきます。

こうした取組みで、ちょうちん業界を盛り上げるとともに、市場を広げることで、新たな若い職人の養成にもつなげていきたいと考えています。

ちょうちんは伝統的な商品ですが、DIMOに参加してデザイナー・クリエイターとの協働を考えられたきっかけは?

秋村さん
ちょうちんは、お祭などの飾りとして、何十年と継承されてきたものなので、形を崩しにくい部分が多いんです。だけど、近年ちょうちん業界の景気も下がってきているので、もっと若い方やいろんな人にちょうちんを知ってもらい、何かを変えたいという思いがありました。

今回のデザイン提案は、そういった課題の解決に向けたものになっていますよね。

橋本さん
市場拡大を狙って、業界の閑散期でもある冬以降に売ることができる季節ものの新たな商品展開をご提案しました。
福嶋さん
また、新しい世代にちょうちん文化がひろがるよう、子どもたちに向けて、ワークショップ形式でちょうちんに触れられる機会を創ろうと考えています。

実際にマッチング後、商品開発を共に進められてみて、デザイナー・クリエイターの印象はこれまでと変わりましたか?

秋村さん
これまでは、一方的にデザインを押し付けてくる印象が強かったですね(笑)。でも今回、商品を開発していく中で、とてもコミュニケーションを大切にしてくれて、なぜこのようにデザインしたか、という根拠を示してくれるので、お互いの意図を確認し合いながら進められています。
福嶋さん
私たちの考えるデザインとは、形をよくするだけではなく、十分にコミュニケーションをとり、課題を解決したり、企業の強みを見つけて、それらをしっかり消費者まで届けられるよう、わかりやすく、より良くする行為すべてなんです。

DIMOも、デザイン提案だけで終わらず、販売までを見越した全体計画を提案していただくことがコンセプトのひとつになっていますよね。

福嶋さん
せっかくマッチングの機会を得られても、デザイナーの理想や形を押し付けていては上手くいかないですよね。しっかりと販売までを見越して「一緒にやらせていただくこと」が重要になってくると思います。
福嶋さん
我々デザイナー・クリエイター側も理想だけで仕事ができる時代ではないということをしっかり認識して、変わっていかなきゃいけないですよね。

DIMOへの参加をきっかけに今後どんな効果が生まれそうですか?

秋村さん
新しいことにチャレンジして「こういうところに市場を開拓できる」という良い例をつくりたいと思います。そして、今までちょうちんにあまり触れることのなかった若い世代の人たちにも、ちょうちんの良さを伝えていきたいと思います。そうなることで業界が活気づけばうれしいですね。

TOYO MOUNTAIN PROJECT ~「工具箱」から「道具箱」へ~

東洋スチール株式会社×Iroyori

プロツールを一般消費者へ。

東洋スチール株式会社は、東大阪にある工具箱メーカーで、金属製工具箱のシェアは国内トップです。ユーザーは工場・現場などのプロユースが大半を占めています。今回、開発の素材とした工具箱は、これまで40年にわたり累計1000万個以上を製造・販売、またグッドデザイン・ロングライフデザイン賞も受賞しています。

この事業では、クリエイティブ提案者(Iroyori)とジョイントし、この工具箱が持つシンプルなデザインや頑丈なイメージを応用し「道具箱」として新たな商品を開発、既存販路とは異なる販路への展開をめざします。新たなユーザーの取り込みにより、事業領域の拡大を図り、「東洋スチール」というブランドを別の市場から浸透させることで、既存工具箱の認知度向上にも還元させていきます。

デザイナー・クリエイターとの協働に興味はありましたか?

中島さん
東洋スチールではプロツールの販売が主ですので、一般消費者向けの商品開発というのは常に課題として挙がっていました。なので、いつかはデザイナーさんと共に新商品を企画したい、というのはありました。
久司さん
当初は、二段式の工具箱のフルモデルチェンジを考えていました。Iroyoriさんからのご提案は、まったく別の切り口のものだったんですが、実に面白かった。プレゼンしていただいた時に、当社の課題だった一般消費者へ向けたビジネスの可能性を感じましたね。

デザイン提案の時に意識したことはどんなことですか?

松本さん
我々は「川上から川下までをデザインする」というコンセプトのもと、生産現場からマーケットまでを繋ぐことを目指しています。ですから単なる表面上のデザインだけではなく、事業全体の計画を盛り込んだ形でご提案させていただきました。

デザインだけにとどまらず、その先まで見越すことが重要なんですね。

南さん
これまで、「デザインが良くても売れない」ということを現場で何度も目の当たりにしてきましたので、デザインの先にある、消費者に届けるまでの道を整えることが不可欠だと考えています。
松本さん
試作品を作るにしても大きなコストがかかります。ですから我々は、製作に入る前に、一般消費者を集めたグループインタビューなどを活用し、マーケットを事前に分析することで、新規事業のリスクを減らし、商品の精度を高めたいと考えています。

これまでイメージされていたデザイナーの仕事とは少し違ったのではないですか?

中島さん
そうですね。デザイナーさんというと見た目やカタチづくりだけだと思っていましたが、販売するところまでを含めたご提案をいただけたので、開発にあたっての不安が少なくなりました。

「大阪のものづくり」についての印象を聞かせてください。

清水さん
世界レベルの技術をもった企業が多いですよね。だけどクリエイターが作り手さんと繋がる機会は少ない。DIMOのような出会いの場が増えれば、現場から面白い商品が生まれ、大阪のものづくりは、より発展していくと思っています。

今後DIMOへの参加を検討されている企業やクリエイターに一言お願いします。

松本さん
マッチングはゴールではないので、企業さんもクリエイターも、お互いに1つのプロジェクトとして捉えることが大切ですよね。決して「相手まかせ」ではなく、一緒に事業を動かしていくという意識で参加することが大切だと思います。

WATAのペットハウス

株式会社榊原鈑金×フォームイーデザイン

高い技術力から生まれる商品。

特殊ポリエステル不織布は、ポリエステル繊維の表面をホットメルト状物質でコーティングされた熱成型でできる繊維素材です。わかりやすく言うと、いろいろな「形」にできる『わた』です。通気性や軽量性といった機能性にも優れているという特性があります。株式会社榊原鈑金は、この特殊ポリエステル不織布成型用金型と乾式熱風成型炉を自社開発し、約20年にわたる加工技術のノウハウを有しています。

この事業では、クリエイティブ提案者(フォームイーデザイン)とともに、この素材『WATA』の特性を活かしたペットハウスを開発します。ペットの種類や大きさに合わせ、ハウスの構成材をオーダービルドできる仕組みで、飼い主との充実した関係を長く保てるシステムペットハウスの開発をめざします。

DIMOへの参加のきっかけを教えてください。

榊原さん
私たちは綿の立体成形の独自技術を持っています。ですので形を造ることはできるんですが、その形を決める、つまりデザインするというノウハウはありませんでした。展示会などに出展する中で、デザインの必要性を感じ、デザイナーさんとの出会いを求めていました。

まさに渡りに船だったんですね。

榊原さん
そうですね。DIMOは、デザインだけでなく、販路の開拓まで提案いただけるのが魅力的でしたね。もちろん助成金が出るというのもありがたいんですが(笑)。
木下さん
我々はちょうど羊毛フェルトのビジネスモデルをつくろうと動いていました。DIMOの説明会などで榊原鈑金さんの技術を知っていくうちに、これは組み合わせ次第で面白いことができそうだと感じましたね。

いつもデザインを提案をする際、大切にされていることはどんなことですか?

木下さん
小さなネタを上手く組合せていかに大きな事業に発展させられるかということですね。いきなり大きく動くということは一部の大企業にしかできません。ですから一歩ではなく、半歩ずつでいいので、無理なく進められる事業提案を心がけています。

実際に事業を進められての感想は?

榊原さん
見た目や形のデザインだけでなく、事業を進めていく上でのブランドイメージや企業理念の重要性に改めて気づかせてもらえました。私は技術屋なのでそんなことを深く考えたこともなかったんですが、非常に勉強になっていますね。
木下さん
やはり事業を一緒に進めさせていただく中で、社長の思いや願いという部分は、強い影響力があります。そのあたりを改めて掘り下げてもらうことも重要だと考えています。わかりやすくて芯の通ったものがあれば、事業を進めていく指針になりますから。

これからDIMOへの参加を検討されている事業者さんに一言お願いします。

榊原さん
デザイナーとのマッチング以外にも、企業理念を見つめ直せたり、公的事業としてPRされることによる波及効果など、間接的な効果もあると思います。
木下さん
DIMOのようなマッチングの場には「大阪のものづくりをもっと面白くしたい」というクリエイターがたくさんいると思うので、自分たちで限界を決めてしまわずに、「こんなことがしたい」という思いや理念を持って、素晴らしい技術を発信して欲しいですね。

DIMO2014マッチング結果

第1ステージ 企業からの開発テーマ件数 27
第2ステージ クリエイティブ提案件数 47
第3ステージ マッチング件数 11
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